リヨンは美食の街と言われているとおり、おいしいものが溢れています。リヨンの名物料理をおつまみ、前菜、メイン、チーズ、デザートのすべて19品を紹介します。
これで料理名や特徴が分かりますので、参考にして注文してくださいね。現地リヨンでメニューを見てもすぐに分かるようにフランス語での料理名も書いています。
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リヨンのおつまみ料理
おつまみはレストランでは食事の前に食べたり、バーではおつまみとして提供されます。
アペリティフ Apéritif
グラトン
グラトンとは豚の皮や脂身を豚脂で揚げ焼きしたパリパリとしたおつまみのこと。前菜の前のアペリティフとして提供されます。豚の皮や脂身を使っており、リヨンの名物料理のひとつです。リヨンではブションやリヨン料理を提供するレストランで見られます。塩味がついてパリパリしているので、お酒にとても合います。
グラトン Grattons
リヨンのソーセージ
リヨンのソーセージは豚肉と豚の脂で作り、10cmほどの太さで硬いサラミのこと。中にビスたちオ、オリーブ、チーズなどが入ったものもあります。それを薄くスライスしておつまみや前菜として提供されます。パンと一緒に食べたり、そのまま食べます。
リヨンのソーセージ
ソシソン・リヨネ Saucisson lyonnais
シャルキュトリー(Charcuterie)という豚肉を加工した食品(ソーセージやパテなど)を売っている店やマルシェで買うこともできます。ただ、肉製品なのでお土産として日本に持ち帰ることはできません。
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リヨンの名物前菜料理
前菜は食事の最初に提供される料理です。リヨンでは名物の豚肉や内臓を使っている料理が見られます。庶民的で伝統的なブションでは、前菜として3〜5品ほどのボウルが置かれ、好きなだけ取って食べるというスタイルになっていることもあります。
前菜 Entrées
牛の足のサラダ
牛の足のサラダは牛足を細かくカットして、酢やマヨネーズで味付けしたサラダ料理です。牛足は臭みもなくぷるぷるとした食感のゼラチン質なので食べやすい。シャルキュトリ(食肉加工品店)にも必ず置いてあります。
牛の足のサラダ
サラド・ド・ピエ・ド・ヴォー Salade de pieds de veau
pieds(ピエ)足/veau(ヴォー)仔牛
豚鼻の軟骨のサラダ
豚鼻の軟骨のサラダは豚の鼻の肉や軟骨を薄くスライスして、マヨネーズやヴィネグレットで味付けしたサラダ料理。コリコリした食感で、独特の香りや味がします。ワインと一緒にいただくととても相性がいいです。
ブション料理の前菜は肉や内臓をつかっている料理も多く、とてもボリューム感があるのが特徴です。濃厚な味の前菜なので食欲を刺激してくれること間違いなしです。ワインにも合います。
サラド・ド・ミュゾー Salade de museau
リヨン風サラダ
リヨン風サラダはサラダ菜にポーチドエッグ、太めのベーコンやクルトンが入ったサラダ料理。リヨン名物の豚肉が入っているため「リヨン風」といいます。
レストランの前菜やカフェでの食事(大きめのポーション)として提供されます。ベーコンもクルトンもたくさん入っているので食べ応えのあるサラダです。
リヨン風サラダ
サラドゥ・リヨネーズ Salade lyonnaise
Lyon / lyonnais / lyonnaise と書いてあったら「リヨン風の料理」のことを指します。
ポーチドエッグの赤ワインソース
ポーチドエッグの赤ワインソースはボジョレー産の赤ワインにラルドン(豚の薫製)や玉ねぎ、エシャロット、バターで味付けしたソースにポーチドエッグを落とした料理。グリルしたパンを添えて提供されます。
本来はブルゴーニュ地方の料理ですが、リヨン近郊のボジョレー村のワインをつかっているため、リヨン料理としても親しまれています。
ポーチドエッグの赤ワインソース
ウッフ・アン・ムレット Œufs en meurette
リヨンのパテのパイ包み
リヨンのパテのパイ包みは豚肉や仔牛の肉やフォアグラで作ったパテをパイ生地で包んで焼いた名物料理。冷たくして薄く切って食べます。レストランで前菜として、サラダと一緒に提供されます。
リヨンのパテのパイ包み
パテ・アン・クルート・リヨネ Pâté en croûte lyonnais
ソシソン・ブリオッシェ
ソシソン・ブリオッシェはブリオッシュ生地の中に太いソーセージを詰めて焼いたリヨン名物料理。ソーセージを使った料理もリヨン名物料理で、前菜やメイン料理としても食べられます。
2cmほどにスライスして、レストランやブションで前菜として提供されます。
ソシソン・ブリオッシェ Saucisson brioché
豚肉を加工した食品を売っているシャルキュトリー(Charcuterie)や総菜店であるトレトゥール(Traiteur)で量り売りで購入することができます。
リヨンの名物メイン料理
リヨンではメイン料理にも豚肉や内臓を使っている料理が多くあります。
メイン料理
プラ Plats
タブリエ・ド・サプール
タブリエ・ド・サプールは牛や豚の腸間膜(腸をおおって脊髄に固定している膜)や胃袋を白ワインでマリネして、パン粉をつけて焼き上げしたリヨンの名物料理です。
外はかりっとしていて中はジューシーに焼き上がっています。内臓料理だと臭みを心配するかもしれませんが。内臓の処理をきちんとしていて特有のイヤな臭みは全く残っていません。
タブリエ・ド・サプールとは「軍人のエプロン」という意味で、ナポレオン3世の頃に活躍したリヨンの軍人マレシャル氏に由来してこう呼ばれるようになりました。当時の軍人は軍服をまもるために革製のエプロンを身に着けていたからだそうです。
タブリエ・ド・サプール Tablier de sapeur
ソシソン・ショー
ソシソン・ショーは太めのソーセージを茹でて食べるリヨンの名物料理です。茹でて厚めにスライスしたソーセージにワインなどで作ったソースをかけ、じゃがいもなどの野菜を添えた料理です。メイン料理や前菜として提供されることがあります。
ソシソン・ショー Saucisson chaud
鶏のレバー菓子
鶏のレバー菓子は鶏や鴨のレバーをペースト状にして、スフレ状にふっくらと焼いた料理。内臓料理ですが、きちんとレバーの血抜き等をしているため臭みもなく、ふわふわしていてレバーの独特の風味が楽しめます。
菓子(Gâteau)と書いてありますが、お菓子ではなくお菓子のように型に入れて焼いているためこのように呼ばれます。
鶏のレバー菓子
ガトー・ド・フォア・ド・ヴォライユ Gâteau de foies de volaille
プーレ・セレスタン
プーレ・セレスタンはにんにくとパセリで味付けした鶏肉をソテーし、コニャックと白ワインをフランベして、トマトとマッシュルームを添えたリヨンの名物料理です。
リヨンでは近くのブレス地方で飼育された品質の高い鶏肉をつかった料理も提供されます。ブレス鶏とは、リヨン近郊のブレス(Bresse)地方で飼育されている鶏のことで、唯一家禽類として統制原産地呼称(AOC)に登録されています。
統制原産地呼称(AOC)とはアペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ(Appellation d’Origine Contrôlée)と呼ばれ、フランスの食品品質保証制度の一つで、農業製品に対して特定の条件を満たしたものに与えられる品質保証です。
ブレス鶏の特徴は、薄い皮に筋繊維まで浸透している脂肪で肉全体にうまみが広がっていて、しっとりとしてやわらかいこと。リヨン周辺の星つきのレストランではこのブレス産の鶏肉料理を提供しています。
プーレ・セレスタン Poulet Célestine
アンドゥイエット
アンドゥイエットは豚の内臓入りソーセージのことで、腸間膜や豚の腸に、豚や仔牛の胃を詰めてソーセージにしたリヨンの名物料理です。
ソーセージ1本をそのままグリルして、マスタードを添えて提供されます。また、太めのソーセージを輪切りにして、パン粉をつけ上げ焼きして、赤ワインソースをかけた料理など様々なバリエーションがあります。
内臓料理なので匂いやクセが心配するかもしれないけれど、良い店で丁寧にした処理されたアンドゥイエットは全く臭みもなく外は香ばしく、しっかりした食感を楽しめます。
アンドゥイエット Andouillette
クネル
クネルは川魚カワカマス(brochet)をすり身にして円筒形に形づくり、オーブンで焼いたリヨンの名物料理です。
ソースナンチュラ(sauce Nantua)というザリガニから取った出汁とクリームをつかったソースをかけていただきます。お米(ごはん)と一緒に提供されます。オーブンから出したばかりのクネルはパンパンにふくれてスフレ状になっています。
最も有名なリヨン名物料理で、ふわふわしたスフレにコクのあるソースがかかっていて、日本人にも合う料理です。
クネル Quenelles
料理の付け合わせ
料理の付け合わせはメイン料理とお供として出てくる野菜や豆、コメなどの料理です。メイン料理の皿に一緒に盛ったり、別皿で提供されます。レストランによっては付け合わせを選べることもあります。付け合わせにもリヨン名物があります。
料理の付け合わせ
アカンパーニュマン Accompagnements
じゃがいものクリームグラタン
じゃがいものクリームグラタンは薄く輪切りにしたじゃがいもをにんにくの香りを移したグラタン皿に並べ、クリームや牛乳を加えオーブンで焼いた料理です。特に、ステーキなどの肉料理に添えられます。
リヨン近くのドフィネ(Dauphiné)地方で作られたため、グラタン・ドフィノワ(ドフィネ風グラタン)と呼ばれています。リヨンではおなじみの付け合わせですが、今ではフランス全土で作られています。
グラタン・ドフィノワ Gratin dauphinois
チーズ料理
リヨンのレストランでは、主にリヨンの近くで生産されたチーズが提供されます。
チーズ
フロマージュ Fromage
サン・マルスラン
リヨンを代表する名物チーズといえばサン・マルスランというほど有名です。サン・マルスランは表面はしわしわと白カビが生えていて、中はとろけるほどにやわらかく、クセがあり濃厚な風味の牛のチーズ。
リヨン近くのドフィネ(Dauphiné)地方の特産です。リヨンでおいしいと評判のチーズで、どのレストランにもメニューに載っているほどです。
サン・マルスラン Saint-marcellin
サン・フェリシアン
サン・フェリシアンもリヨンを代表するチーズで、表面はしわしわと白カビが生えていて、中はとろけるほどにやわらかい牛のチーズ。
同じくリヨン近くのドフィネ(Dauphiné)地方の特産です。
サン・マルスランと似ていますが少し大きめで、4〜6週間熟成させた後、4月から9月にかけてが食べごろで、12月が最もおいしいとされています。
サン・フェリシアン Saint-félicien
セルヴェル・ド・カニュ
セルヴェル・ド・カニュはフレッシュチーズに塩こしょう、シブレットという青ネギのようなハーブ、にんにくにエシャロットを加えたチーズ料理です。
セルヴェル・ド・カニュは「絹織物職人の脳みそ」という意味で、リヨンの絹織物職人が朝食にパンに塗って食べていて、見た目が脳みそのように見えることから名付けられました。
セルヴェル・ド・カニュ Cervelle de canut
デザート
リヨンではプラリンという赤いプラリネをつかったデザートがよく見られます。
デザート
デセール Dessert
赤いプラリネのタルト
赤いプラリネのタルトは真っ赤な色をしたタルトのことです。リヨンを代表する名物菓子です。プラリネとはアーモンドなどのナッツ類に加熱した砂糖をまぶしてコーティングして、赤い色をつけた香ばしいお菓子です。リヨンではプラリネに赤く色をつけています。
鮮やかな真っ赤な色をしているのでびっくりするかもしれませんが、甘さの中にナッツの香ばしさがあり、リヨン人には人気のタルトです。他にもリヨンではこの赤いプラリネを使ったデザートが考案されています。
タルト・ア・ラ・プラリン Tarte à la praline
ヴァシュラン
ヴァシュランはサクサクに焼いたメレンゲに泡立てた生クリームとアイスクリーム、フルーツをはさんだ冷たいデザートのことです。見た目はフルーツのショートケーキのようですが、スポンジ生地ではなくメレンゲをつかっているサクサクとした軽い食感のするお菓子です。
リヨンで19世紀に誕生した郷土菓子で、ブラッスリーやレストランでよく見られるデザートです。
ヴァシュラン Vacherin
以上、リヨンの名物料理をすべて紹介しました。リヨンのレストランやブションに行かれる際の料理選びに参考にしてくださいね。