リヨン市内のソーヌ河の西に位置するのが旧市街、ヴィユー・リヨン Vieux-Lyon と呼ばれる古い街並みの残るエリアです。ヴィユー・リヨンはフランスのルネッサンス期の古い街並みが残っており、1998年にユネスコの世界遺産に登録されました。
リヨン旧市街のメイン通りであるサン・ジャン通りの歴史や観光の見どころを紹介します。
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リヨン旧市街エリア
ベルクール広場からソーヌ河へ向かい、ボナパルト橋 Pont Bonaparte が見えてきます。向かって左側はサン・ジョルジュ地区 Saint-Georges、正面と右側がサン・ジャン地区 Saint-Jean、右奥(北)にはサン・ポール地区 Saint-Paul、丘の上はフルヴィエール地区 Fourvière です。
ボナパルト橋(Pont Bonaparte)を渡り、そのまままっすぐとすすむと右側に広場が見えてきます。その広場はサン・ジャン広場 Place st-Jean で、広場の前に立っているのがサン・ジャン大聖堂(Cathédrale Saint-Jean-Baptiste)です。
サン・ジャン広場は旧市街観光の出発点で、いつでも多くの観光客が集まっています。広場の中央には19世紀に設置されたサン・ジャン・バチスト噴水があり、キリスト洗礼の彫刻が見られます。
サン・ジャン大聖堂は12世紀からロマネスク様式で着工され、その後3世紀の時を経て壮麗で均衡のとれたゴシック様式のファサートで完成しました。
それでは、リヨン旧市街を歩きながら観光スポットを紹介します。
旧市街の観光メゾン・ドゥ・シャマリエ
サン・ジャン通りを北方向にすすむと、メゾン・ドゥ・シャマリエ Maison du Chamarier(住所:37 Rue St-Jean)が左手に見えてきます。
1516年に、繊細な細工が施されたファサードと装飾された階段つきの中庭のある建物です。かつてはサン・ジャン修道院の一部でした。
シャマリエ(Chamarier)とはサン・ジャン大聖堂の司教付き財務監督官のことで、市(マルシェ)が開かれる際に税を徴収する勤めでした。この税収がルネサンス期の繁栄の基となりました。1496年からシャマリエだったフランソワ・デスタン François d’Estaing が16世紀に改修し、19世紀には建物は住居として使われていました。書簡作家のセヴィニエ夫人はリヨンを訪れた際に立ち寄っていたそうです。
旧市街の観光メゾン・デ・ザヴォカ
メゾン・ドゥ・シャマリエを少し北に歩くと、メゾン・デ・ザヴォカ Maison des Avocats(住所:60 Rue St-Jean)があります。
かつてはクロワ・ドール旅籠として使われており、16世紀にできた中庭の回廊が特徴的です。1968年にとなりのボンバルド通りの建物が壊されたため、建物自体がよく見えるようになりました。
1979年には弁護士会に買い取られ、メゾン・デ・ザヴォカ Maison des Avocats とは「弁護士の館」という名前になりました。
旧市街の観光ミニチュア博物館
メゾン・デ・ザヴォカと同じ場所にミニチュア博物館 Musée international de la Miniatureがあります。
2005年にオープンしたミニチュア博物館は、ミニチュアと映画コレクションの2つのカテゴリに分けられています。1階はミニチュア作品が展示しており、無料で誰でも見学できるようになっています。博物館は入口は狭いですが、内側は上階まで2100㎡の広さに数多く展示されています。
ミニチュア博物館の中庭はルネサンスの頃のピンク色の建物が残っており、フォトジェニックな観光スポットです。
一番長いトラブール
旧市街のサン・ジャン通りには最も長いトラブール(住所:54 Rue St-Jean)があります。通りの左側に緑色の扉(上記写真)があり、観光客でもこの入口から入ることができます。
このトラブールは4つの建物を横切って、ブフ通り(27, rue du Boeuf)に抜けます。
旧市街の観光スポット裁判所
このサン・ジャン通りからソーヌ河沿いにでると、裁判所(住所:1 Rue du Palais de Justice)があります。
ネオ・クラシック様式の荘厳な24本の列柱から「24柱の裁判所」と呼ばれています。法定ホールには17世紀にブランシェ Blanchet のつくった2つの美しい天井画を見ることができます。
200年の間でおこなわれた有名な裁判は、17世紀のサンマール公とドゥ・トゥー行政官による国家反逆罪、19世紀に起こったアナーキストのカゼリオによるカルノー大統領暗殺、1987年におこなわれた元ナチス党員クラウス・バルビーの「人道に対する罪」の裁判などがあります。
裁判所は1995年にパール・デュー地区へ移転しました。この裁判所ではリヨン市控訴院とローヌ県重罪院の機能だけ残っています。
旧市街の観光グラン・メゾン・デ・ル・ヴィスト
再びサン・ジャン通りに戻って北上します。右側に古くて松ぼっくりの飾りの付いた建物が見えてきます。
この建物はグラン・メゾン・デ・ル・ヴィスト Grand’maison des le Viste(住所:29 Rue St-Jean)といい、かつては貴族商人の館でした。正面扉の列柱に松ぼっくりが彫られているため、この館を「松ぼっくりの館」とも言われています。
少し北上すると19番地にトラブール(住所:19 Rue St-Jean)があります。このトラブールはトロワ・マリー通り Rue des Trois Mariesに通じます。
旧市街の観光トロワ・マリー通り
トロワ・マリー通りは細くて古い建物が並んだ通りです。
この通りはルネサンス期の弓形で彫刻で飾られたのファサードが多く見られます。7番地に3人のマリアの像があることがこの通りの名前の由来になりました。トロア・マリーとは「3人のマリア」という意味です。
さらに、3番地に塔のある中庭、4番地には螺旋階段、中世やルネサンス期に特有の窓の桟などを見ることができます。この建物はルネサンス時期にはサウナとなっており、住民の出会いの場所でもありました。
トロワ・マリー通りを北上すると、くじら広場 Place de la Baleineに通じ、再度サン・ジャン通りに戻ります。
旧市街の観光メゾン・ローランサン
くじら広場のすぐ正面にメゾン・ローランサン Maison Laurencin(住所:24 Rue St-Jean)があります。ここはトラブールへの入口となっています。
ルネサンス様式の中庭回廊は、展望台をのせた小塔の螺旋階段によって結ばれています。梁がめぐらされた廊下を通り、ブフ通りまで通り抜けることができます。
旧市街の観光スポット政治広場
サン・ジャン通りを北上すると右側に政治広場 Place du Gouvernementがみえてきます。この広場の奥にファサードは尖塔アーチで、黄色の建物のトラブール(住所:2 Place du Gouvernement)があります。
中に入り、階段をのぼり中庭に出ると、屋根つきのバルコニーやむかしの井戸の上の絵画ら装飾を見ることができます。階段を通っていくとロマン・ロラン河岸 Quai Romain Rollandにでます。
サンジャン通りに戻ります。
旧市街の観光シャンジュ広場
サン・ジャン通りを北上すると、シャンジュ広場 Place du Changeが見えてきます。
この広場はルネサンス期には商人たちが集まる場所で、中世の頃から定期市の度に両替商たちが店を構えていました。メゾン・トマサン Maison Thomassin(2 rue St-Jean)はルネサンスの始まる直前に建てられた貴重な建築で、14世紀にできたファサードが見所です。
旧市街の観光サン・ポール広場
サン・ジャン通りが終わると、レヌリー通り(Rue Lainerie)にはいります。レヌリー通りを北上するとサン・ポール広場が見えてきます。サン・ポール広場にはサンポール駅 Gare de Saint paulがあります。
サン・ポール広場の2番地(住所:2 Place St-Paul)には、ローラン・ムルゲ Laurent Mourguet が住んでいました。彼はリヨンの人形劇ギニョルの創始者で、ここで人形劇の公演をおこなっていました。
旧市街の観光サン・ポール教会
広場からサン・ポール通りにでると、サン・ポール教会 Église Saint-Paul(住所:3 Place Gerson)が見えてきます。
12〜13世紀の旧参事会教会で、リヨンで最も古い教会のひとつです。ロマネスク様式の八角形の塔、ゴシック様式のチャペルというようにロマネスク様式とゴシック様式が混ざり合っています。
絵画は17〜18世紀の作品で、正面扉と尖塔は19世紀につくられたものです。教会の周りにも当時の古い建物が残っています。
サン・ポール駅の左側にある坂道カルム・デショッセ上り道 Montée des Carmes-Déchaussés を登るとフルヴィエール丘に行くことができます。坂道の途中でもリヨン市内の街並みの風景を眺めることができます。
以上、リヨン旧市街の通りを歩きながら観光スポットを紹介しました。観光を楽しんでくださいね。